NEOぱんぷきん 2018年6月号 好きです「遠州」!「遠州の小京都」
「遠州の小京都」
森町町議会議員の伊藤和子さんが講師の勉強会で、森町の「遠州の小京都まちづくり基本構想」について、教えていただきました。森町は2012年11月に「全国京都会議」に加盟しています。「全国京都会議」は「小京都と京都ゆかりのまち」のPRや文化の掘り起こし策等を協議することを目的に1985年に結成され、現在、京都市や森町など47の地域が加盟しています。「全国京都会議」の加盟基準は、①京都に似た自然と景観、②京都との歴史的なつながり、➂伝統的な産業と芸能があること、となっております。森町は①の基準については、三方を山に囲まれ、中央を太田川が流れ、町の中心に京都の四条や五条に比する森市場がある、比叡山に比すべき山地と、京都と同様の位置に賀茂神社が配置されている、②の基準については、小国神社、天宮神社、山名神社の舞楽、桜御前の伝説、小国神社と青蓮院門跡、蓮華寺と比叡山延暦寺との関係があること、③の基準については、お茶、森山焼、「梅衣」等の和菓子、治郎柿などの農産物、舞楽、森のお祭りのお囃子等があることから、3つの加盟基準を全て満たしているとのことでした。たしかに、太田川の風情は京都の加茂川を連想させるものもあり、三方を山に囲まれ、小京都の名に相応しい町であると思います。森町では、小京都の町造りを推進し、地域振興を図っていく方針とのことでした。
ところで、私は、磐田市も「全国京都会議」の基準を十分に満たしていると思っています。「磐田市史」は見付を「東海の小京都」と位置付けていますが、特に中世ではそのような位置づけの都市だったと思います。①の基準については、良純法親王が京都に見立てて見付の地名を付けたため京都と同じ地名が多数ある、三方を磐田原台地に囲まれている、加茂川のほか、桂川に見立てた中川が流れている、北野天満宮に比すべき見付天神がある、化野や鳥部野に見立てた一の谷墳墓群等がある、遠江国の総社である淡海国玉神社がある、国府、守護所があった(「駿府」のように「遠府」という名称で呼ばれる場合もあったようです)、平家物語や吾妻鏡に見付の記載がある、平重盛公ゆかりの西光寺や蓮光寺の存在、時宗の発展、今川義元から得た「自由都市共和制」の歴史、東寺・西寺(現在は廃寺)に比すべき西光寺・東光寺(現在は廃寺)の存在等々、②の基準については、祇園祭と舞車の神事、中世の国司・守護の存在、足利義教の逗留、今川了俊の活躍…枚挙に暇がありません(漏れてしまった事柄はご容赦ください)、③の基準についても、全国に三百しかない謡曲のうちの一つ「舞車」がある(磐田市全体を含めれば「熊野」もある)、狂言の「磁石」がある、矢奈比売天神社のはだか祭、「粟餅」等の和菓子、お茶などがあります(磐田市全体では「掛塚のお囃子」も挙げられるでしょう)。「全国京都会議」の基準を満たす文化資源にあふれているのが見付であり、磐田ではないかと思います。そこで、磐田市も「全国京都会議」に加盟したらよいのではないだろうかと思います。「小京都」という観点から磐田の町を考え、文化の掘り起し策などを検討すること、他の小京都を名乗る町がどのような地域振興を行っているかを知ること、それらの町の方々との交流を通じ、磐田はどのように見えるのかを指摘いただくことなどは、磐田の地域・観光振興に参考になるのではないかと思います。
小山展弘